なきあとや ありし昔の 雲の月 小野の人かな しばしあひ見む              藤原中将実方
               いではの八十島に舟のりてあそぶ
八十島の 浦の渚に 数へつつ 泊まれる年も あまたへぬべし            元真家集 藤原 元真
人知れず 思う心の ふかければ いはでそ偲ぶ 八十島の松              
夫木和歌集  謙徳公
時すぎて 枯れいく小野の 浅茅には 今は思ひぞ 絶へずもへける         
古今和歌集 小野小町
八十島に 藻塩焼きおく 海士のそで むすびがたくも よそに見ゆるか            
順集 源 順
            
上記の八十島は多くの島々を意味するので小野の郷の八十島を必ずしも意図していない
 世界三大美女(クレオパトラ・楊貴妃・小野小町) 小野小町の故郷の湯沢市の医師である杉本元佑氏が比色計で秋田県南部の女性の肌を計測した結果を昭和41年の文芸春秋8月号に掲載したのです。その結果秋田南部の女性の色白さは30,5%、秋田県全体では29,6%、日本人全体の平均が22,0%であったと云う。白人のそれは40,5%であると言う。更に秋田美人はまつげが長く、丸く大き瞳をしていると書いている。
江戸時代の偽作本によると江戸吉原の遊女には秋田の女性が多かったと云う。貧しい農村出身の田舎娘だが吉原で磨かれてその色白が評判になり美人は秋田に限ると云うのが一般常識になったという。(秋刀魚は目黒に限るに似てますね) そのせいか秋田県の美容院数は人口1000人当たり2,6店と日本一なのです。所がそんな美人の多い恵まれた国なのに何と自殺率も日本一なのです。人口減少率も又日本一なのです。我々からすると恐ろしく勿体無い事ではあります。因みに京美人・博多美人と並び日本三大美人と言われるがそれは秋田に移封された佐竹義宣が常陸の国領内の美人を根こそぎ連れて来たためと云う伝説もあり信憑性は中々難しいようだ



小野の里



ここ雄勝郡小野の里は回想と悔恨と諦観の人 ご存知絶世の美女小野小町の数多い誕生の地の有力な里の一つであると言う
花の色は うつりにけりな いたづらに 我が身よにふる ながめせしまに (花をながめて)       古今和歌集
秋風に 逢ふたのみこそ 悲しけれ 我が身空しく なりぬと思へば
(実もなき苗の葉に文をさして人のもとへやる)  古今和歌集
心から うきたる舟に のりそめて ひと日も浪に ぬれぬ日ぞなき                  
  後選和歌集
思ひつつ ぬればや人の 見えつらむ 夢としりせば 覚めざらましを
(夢に人のみえしかば)           古今和歌集
うたたねに 恋しき人を 見てしより 夢てふ物は たのめそめてき                   
古今和歌集
いとせめて 恋しき時は むば玉の 夜の衣は 返してぞ着る                    
 古今和歌集
わびぬれば 身を浮き草の 根を絶えて 誘う水あらば いなむとぞ思ふ
(文屋康秀への返歌)       古今和歌集
おろかなる 涙ぞ袖に 玉はなす 我は堰あへず 滝つ瀬なれば
(安倍清行への返歌)            古今和歌集
            わすれぬなめりと見へし人に・小野貞樹への贈歌
今はとて 我が身時雨と 降りぬれば 言の葉さへも うつろひにけり
                     古今和歌集
色みえで うつろふ物は 世の中の 人の心の 花にぞありける
(人の心のかはりたるに)           古今和歌集
あまの住む 浦こぐ舟の かじをなみ 世をうみわたる 我ぞ悲しき
(さだまらずあはれなる身を嘆きて)       後選和歌集
岩の上に 旅寝をすれば いとさむし 苔の衣を 我にかさなむ
(かの寺に遍照ありと聞き心見にいひやる)    後選和歌集
我が身こそ あらぬかとのみ たどられる 訪うべき人に 忘られしより             
   小町集
世の中に いづら我が身の ありてなし あはれとや言はむ あな憂しとや言はむ          
  小町集
見し人も 知られざりけり うたかたの 憂き身は今や 物忘れして                  
小町集
山里は もののわびしき ことこそあれ 世の憂きよりは 住みよかりけり
                  小町集
  
 男に忘れられた晩年自分自身を見失い独り山里に住む哀れな老女姿の辞世の句                       
九重の 花の都に 住まわせで はかなや我は 三重に隠くるゝ                  
町集 
    あの紀貫之は古今和歌集の中で「小野小町は古への衣通姫の流れ也。あはれなるやうにて強からず。
    いはばよき女のなやめるところあるに似たり。強からぬ女の歌なればなるべし」と誉め記している。
    衣通姫とは古事記に出てくる絶世の美女と言う。身体から発する光が衣服を通して外に出て光耀く美しい女性
    です    (容姿絶妙無比 其艶色徹衣而晃之 是以、時人号曰衣通姫也)