宣えつ殿 おほむかたより たびの衣に
見ぬほどの かたみに添ふる 心あるを あくなとぞ思ふ 筥潟の磯    実方集  藤中将実方
   
     ご返事 おむかたへもたたぬに かくものせさせ給へるになむとて
心にも あらぬ別れを 筥潟の 急ぐをかつは うらみつるかな         実方集  藤中将実方   
     はこかたのいそにて 京にのぼるに
白河の 関より内は のどけくて 今筥潟の 急がるるかな               重之集  源 重之  
    
 はこかたの池
白波の よるは音のみ 聞こゆるを 明けば先ずみん 筥潟の池    和泉式部続集 和泉式部   
筥潟の いそぎあはずは あまのかる 物忘れぬと こたふばかりに     大斎院前の御集

未詳である 白河在住の方に尋ねても全く初耳のようである。是非将来は場所を特定したいものです。ここでは日本文学地名辞典(遊子館)にある文章をそのまま記入しておきましょう 『未詳 東国の歌枕 福島県(陸奥)白河市南部、旗宿にあったという白河の関の京よりに位置するか』と記されている。山中であり海はないので 陸奥白河の関と毛野国芦野の遊行柳の間の東山道にある川か池か沼ではないかと思われるが? 有名な『歌枕を見て参れ』の一言で陸奥守として左遷され 其の時仲良しだった重之も一緒に下向した。3年後実方は落馬が原因で死亡し、重之もその後も陸奥に土着して亡くなっている。陸奥の歌枕には多大な貢献をした二人である。きっとあるにちがいない(平成14年6月27日)

      
やすらはず 思ひたちにし 東路に ありけるものを はことりのせき
実方集にこの歌があるが『はことりのせき』のせきはだろうかだろうか?また何処に比定されてるのかご存知の方の一報をお願いします.。一説によれば愛媛県波方町波止浜を「はこかたのいそ」と云うのだそうだが陸奥と四国では余りにも距離がありすぎる。(参考文献 日本文学地名辞典 遊子館)


                        
 筥潟の磯