能  登 の 嶋 山

鳥総(とぶさ)たて 船木伐るといふ 能登の嶋山今日見れば 木立繁しも 幾代神(かむ)びそ  万葉集 巻17-4725 大伴家持

波間より けさこそ見つれ 鳥総たつ 船木伐るといふ 能登の島山                 新古今六帖  1169

鳥総とは木を伐採したあとに木の梢や枝葉の茂った先の部分を山神を祭るために切り株の跡にこれを立てること とある  鳥総をたてて舩の材木を伐採するという能登の嶋山よ 今日来てみると木立がぎっしりと繁っている 幾代を経てかくも神々しくなったことか と訳されてある

能登の海 長閑にかすむ 春の日は 沖に出でそふ 海士の釣り舟             壬二集 藤原家隆

能登の海 釣りする海士の 漁り火の 光にいわく 月まちがてら         夫木和歌集 読み人知れず
左 能登半島巡行の図 大伴家持が巡行した大凡のルート 富山県伏木の国府から氷見を通り志雄路峠を越えて羽咋の気多神社を参拝してから七尾市香嶋の津から船出して中島(熊木)の湊で上陸 そこから陸路穴水・輪島・珠洲を巡行して海路伏木に戻った 中 七尾湾内の能登島 一周72kmもある 右 能登島大橋 七尾市和倉温泉側から能登島へはゆったりアップダウンの能登島大橋を渡る 全長1050m 奥にある茂みが能登島で手前は和倉温泉だ 和倉温泉には旅館 加賀屋 がある プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選で35年連続総合一位をとり続けている
 左 万葉歌碑 香嶋より 熊木をさして 漕ぐ船の 梶取る間なく 都し思ほゆ 万葉集 巻17-4027 大伴家持    鳥総立て 船木伐るといふ 能登の島山今日見れば 木立繁しも 幾代神びや 万葉集 巻17-4026 大伴家持  共に和倉温泉シーサイドパーク内にある 七尾市和倉町タ34-1 香嶋から熊木をさして漕ぐ船の舵を手に取る間さえなく都のことが思われて鳴らない  鳥総を立てて船木を伐るという能登の島山 今日見ると木立が茂っていて幾代を経た神々しさであろうか  能登大橋の女性的妖艶なるカーブを強調したくネットより拝借した
左  能登島の 橋をゆすりて 鰤起こし  俊彦   中 鳥総立て 船木伐るといふ 能登の島山 今日見れば 木立しも 幾代神びや 万葉集 巻17-4026  能登島臨海公園水族館公園内歌碑 七尾市能登島曲町15-40 二つとも能登島水族館公園内にあるのだが現在廃館となっていて中の万葉歌碑の所在が不明のためネットより拝借した 右 ツインブリッジ中能登農道橋 能登島から能登半島へ戻るときの橋 全長620m 奥の島が能登島