汐 越 の 松

終宵 嵐に波を はこばせて 月をたれたる 汐越の松          西行法師
年波の 外にも高き 汐越の 松の昔ぞ くみて知らるる  回国雑記 聖護院道興

奥の細道で芭蕉が加賀国を越えて越前福井県の県境での記述の中で 『吉崎の入江を舟に棹さして汐越の松を尋ぬ  終宵(よもすがら) 嵐に波を はこばせて 月をたれたる 汐越の松  此の一首にて数景尽きたり もし一弁を加ふるものは無用の指を立つるがごとし』 とまず記している  なるほど 他にいうことはありません と 余りにも素晴らしい歌をまえにしてはさすがの芭蕉も一句も作らずにすませたのである 所がこの歌は西行のどの歌集にも載っていなく蓮如上人の御文集には載っているので蓮如の作ではないかともいわれている 近くの吉崎御坊は蓮如縁の地である 芭蕉の勘違いかも知れません 国指定史跡の吉崎御坊は蓮如が北陸での布教の中心拠点としたところで蓮如の里と言われている