凡そ800mもある槻木大橋の歩道には鋳物でほられた阿武隈川を詠んだ下記の古歌があるのです。
 この大橋は国道4号と国道6号の連絡強化を目的に、平成7年7月7日竣工した上に総延長777.77m
 総て7を並べて開通したと云うお役所仕事にしては凝った粋な計らいの情緒のある縁起の良い橋なのです 
君が代に あぶくま河の 渡し舟 むかしの夢の ためしともがな         続後拾遺和歌集  藤原実泰
人しれぬ 恋じのはてや みちのくの あぶくま川の わたりなるらん      新後撰和歌集    藤原季宗
年経ても あぶくま河の 友千鳥 なく音身にしむ 夜半の 月影         景勝4天王院和歌 藤原秀能
あぶくまに 霧たちくもり あけぬとも 君をばやらじ まてばすべなし      古今和歌集      東歌
君が代に あぶくま河の 埋もれ木も 氷の下に 春をまちけり          新古今和歌集    藤原家隆
空清き 雲ゐの秋の よろずよに 逢くま河の 波の月かげ            建保名所百首    俊成卿女
行く末に あふくま川の なかりせば いかにかせまし 今日の別れを      新古今和歌集    高階経重
君にまた あふくま川を 待つべきに 残り少なき 我ぞかなしき         新古今和歌集    藤原範永
世とともに あふくま河の とほければ そこなる影を 見ぬぞわびしき     後撰和歌集      読み人知らず
君が代に あふくま河の そこきよみ よよを重ねて すまんとぞ思ふ      金葉和歌集      藤原頼通
たちくもる あふくま河の 霧のまに 秋をばやらぬ 関もすゑなむ        建保名所百首    藤原定家
風はやき あふくま河の 小夜千鳥 涙なそへそ 袖の氷に            景勝4天王院和歌  後鳥羽天皇
たちくもる 霧のへだたも 末みへて あふくま河に あまる白波         新後拾遺和歌集   二条為重
(参考 柴田町建設課 加藤氏談)(平成14年8月28日)

 歩道部分にこのように鋳物が埋められている   人しれぬ 恋じのはてや みちのくの  あぶくま川の わたりなるらむ
 
左画像 下流柴田町槻木と亘理小山を結ぶ槻木大橋から見た阿武隈川  正面の山が千貫山 昔船の位置を頂上の松の数で図ったと言う 千貫の価値があったので千貫松山と言う この橋には藤原定家を始め12の阿武隈川の歌が歩道に彫られている小山の渡しと言った所だ 
左端 小山の渡し跡の碑
槻木大橋の亘理町小山側にある
君が世に あぶくま川の わたし舟 
 昔の夢の ためしともがな 
後宇多院撰
左 槻木大橋の中央の手すりにある歌碑
あぶくまに 霧立ちくもり あけぬとも 
     君をばやらじ まてばすべなし


阿武隈川 其の4