この一級の歌枕の地『緒絶の橋と姉歯の松』芭蕉は立ち寄っていない あれほど能因・西行の陸奥の歌枕を尋ねるのを楽しみにしていたのにです。奥の細道石巻の段には『十二日、平泉と心ざし、あねはの松・緒だえの橋など聞伝へて、人跡稀に雉兎趨蕘の往きかふ道そこともわかず、終に路ふみたがえて、石の巻といふ湊に出ず』と書いている 勿論この文章は通雅の歌『ふみみふまずみ心まどわす』にかけてるのだろうがそれにしても承知しながらわざと立ち寄らないのは何故だったのだろうか?

江戸後期寛政2年の創業200年の蔵元 橋平酒造商店 その酒蔵を改修してみちのく食の蔵『醸室』が造られている 大吟醸緒絶橋・吟醸酒醸室の他味噌・醤油・食堂・お土産店などがありいい雰囲気を醸し出している 尚黒色のお面は宮城県北部から岩手県に多くみられる防火のための民俗文化 火の神様 釜の神様をモチーフにしている 

上 緒絶川 右 緒絶の橋 大正14年9月竣工 それ以前は皇居を真似た二重橋のめがね橋だったが流木等でつまりしょっちゅう氾濫の原因となった
 
左 緒絶橋の断碑 古川俳諧結社 文化四年卯十月十二日
断碑には『掛りたる橋の上 緒絶橋 麥雨社中』と彫られているが うえの句が欠けていて説明板には彫られた年は芭蕉112回忌に当り芭蕉が深川大橋を詠んだ『初雪や かけかかりたる 橋の上』にちなみ『初雪や 雪掛りたる 橋の上』ではなかったかと書いてある この断碑は緒絶の橋とは直接関係ないようだ

緒絶の橋 其の3