薬師堂秋月
ご覧のように何もない玉浦の地 この荒涼とした玉浦に誰が建立したのか薬師堂が忘れられたように建っていた 8月15日の月の夜の風情が格別とか 日本人の心の原風景かもしれない 左端の土手が阿武隈川である

阿武隈朝雪
2〜3000年前にかけてこの玉浦地区をつくったであろうさしもの大河阿武隈川の河口も 今は穏やかに太平洋に注ぐ 早朝温暖な地に薄っすら積った雪の中洲など見れば清少納言の枕草子 冬はつとめて 雪の朝はさらなり を連想させる
    四夕の歌
心なき 身にもあわれは 
 知られけり 鴫立つ沢の 
       秋の夕暮れ
西行


見渡せば 花も紅葉も 
 なかりけり 浦の苫屋の 
       秋の夕暮れ
定家


寂しさは その色年も 
 なかりけり 槙立つ沢の
       秋の夕暮れ
寂連


寂しさに 宿を立ち出で 
 ながむれば 何処も同じ 
       秋の夕暮れ
良暹




  岩沼 玉浦八景






   遠望浦 其の2

   

   

長者森夜雨
長者森と言う地名です その名とは裏腹にただ一面の田んぼで何もない それから推察すれば往時はただ一面見渡す限りの葦か薄の原野であったでしょ そこに音もなく降る夜の雨にその風情を感じた日本人の感性の凄さ見る思いである

閼伽江晴嵐
閼伽とは梵語で水の意味で空海がこの地で水を求めたことに因む 晴嵐は早朝晴れた日にかかる霧の事で朝霧が見事かもしれない 遍照寺弘法大師堂 毎朝六時半に鐘を突くそうだ 目の前に貞山堀があり松原と太平洋がすぐ傍である ここを赤井江という

新浜港帰帆
阿武隈川河口以北の海岸を新浜と云う 帆を揚げた舟が二つ三つ港に帰る景色は絵になる日本の浜辺である 白い砂浜と緑の松原が続く日本の浜辺もご覧のテトラポットではなんとも味気ない 往時を想像するだけだ

東国山晩鐘
東国山高林寺 神社や寺の鎮守の森は杉の古木に見慣れた私にいかにも海辺らしい寺の黒松が新鮮だ 田んぼの真中で廻りに何もない 春分の日から秋分の日の前日までは夕六時に 秋分の日から春分の日の前日までが夕五時に梵鐘を打つそうです その晩鐘の響きは古き良き日本の風景だろう

矢野目落雁
矢野目の地界隈を流れる五軒堀と一面の葦と薄の風景と鍵になり棹になり飛んで行く雁 これ以上の日本の秋を語る景色はあるでしょうか 然しここの北部には仙台空港という超近代的風景が見られます  矢野目橋より

三軒橋夕照
とても古代の面影はない すぐ左には国道4号バイパスでありコンクリートに固められた五間堀川と三軒橋ではとても往時の落日の夕映えの風情は望むべくもないだろう